前立腺シンポジウム

第23回前立腺シンポジウム(2007年)

第23回前立腺シンポジウム

第23回前立腺シンポジウムでは、「再燃進行前立腺がんの治療」と題し、転移性前立腺がんに対する、1次内分泌療法後の再燃治療のストラテジー・治療成績、抗アンドロゲン剤交替療法・ステロイドの治療効果、抗がん剤の治療経験、骨転移に対するビスホスフォネートの使用経験、脊髄横断症状に対する放射線治療・外科的治療など、様々な再燃前立腺がんに対する治療法の発表および討論が行われました。泌尿器科の分野で最先端の研究・医療に携わっておられる方々が一堂に会し、現時点での最善の治療方針について活発なご意見を頂戴いたしました。
「再燃進行前立腺がんの治療の現状と展望」と題したシンポジウムでは、再燃前立腺がんのほとんどすべての治療オプションについて、日本を代表する先生方に発表いただき、治療上の問題点や有効性について知ることができ、活発な討論が行われました。また、ドイツよりドセタキセルを中心とした化学療法の最新情報に関する特別発言も行われました。一般演題には44演題の応募が寄せられ、臨床で苦慮する病態に関して、様々な対応について学ぶことができ、前立腺がん治療の質の向上に大きく寄与するものでした。
また、今回、初めて企画いたしましたランチョンセミナーでは、世界的に非常に重要な泌尿器科領域のテーマであります前立腺がんスクリーニングについて、世界の第1人者であります、インスブルック大学のバーチ教授に来日いただき、前立腺がん検診の死亡率減少効果についての最新情報を学ぶことができましたことは、極めて有意義でありました。

当日は、昨年を上回る388名の方々にご参加いただきました。参加した泌尿器科医は、再燃前立腺がんの治療について日頃から対応に苦慮することが多く、今回のシンポジウムのように、多くの泌尿器科医との討議・意見交換は重要であり、このような一つの重要なテーマについて、時間をかけてじっくり学ぶ機会は本シンポジウムの他にはほとんどなく、貴重な学問向上の場であることから、何年後かには再び同様なテーマで議論の機会を持ってほしいとのご要望も参加者から寄せられ、関心の高さを感じるシンポジウムとなりました。



テーマ 「再燃進行前立腺がんの治療」
日程 2007年12月9日(日) 8:25~17:20
場所 東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区港南1-9-36)
次第 ①シンポジウム
「再燃進行前立腺がんの治療の現状と展望」
■司会
金武  洋(長崎大学大学院)
赤座 英之(筑波大学大学院)
■シンポジスト
古賀 寛史(原三信病院)
鈴木 啓悦(千葉大学大学院)
野々村祝夫(大阪大学大学院)
河合 弘二(筑波大学大学院)
久米 春喜(東京大学大学院)
篠原 信雄(北海道大学大学院)
中村 和正(福岡大学)
野口 正典(久留米大学)
那須 保友(岡山大学大学院)
■特別発言Axel Heidenreich (University of Köln,Germany)

②一般演題
口演セッション
1 「内分泌療法・その他」
2 「抗アンドロゲン剤・遺伝子治療」
3 「化学療法」

ポスター討論
1 「化学療法」
2 「内分泌療法・その他」
3 「抗アンドロゲン剤」
4 「放射線治療・症例報告」

③ランチョンセミナー
THE TYROL PROSTATE CANCER DEMONSTRATION PROJECT (1988 - 2006): EARLY DETECTION, TREATMENT, OUTCOME, INCIDENCE, AND MORTALITY
G. Bartsch
Department of Urology, Innsbruck, Austria

テーマ設定の背景

前立腺がんは、近年我が国において増加し続けており、2000年の前立腺がんの死亡数と比較し2020年には約3倍に増加すると予測され、男性がんの中で最も増加率が高く、その対策は急務です。今回のシンポジウムでは、前立腺がん治療の中で、治療法が確立されておらず、対応に苦慮することの多い再燃進行性前立腺がんの治療を主題にいたしました。
日本の中で最も治療経験豊富な施設から、様々な再燃前立腺がんの治療について、治療適応・治療成績を提示いただき、じっくり討論する機会を設けることにより、現時点での最良の治療方針が導き出されれば、臨床の場における寄与は極めて大きいと考え、テーマを設定しました。